いつもの店で

「ありがとうございましたー ^_^」
いつも気持ちいい娘さんの笑顔
「マスター久しぶりー」
「おうらっしゃい 生きとったか」
「いっそがっしかったでよう
お客さん多そうだね。評判だで」
「まあな。改装してから客層広がったな。
気になっていた常連さんも戻ったしな。」
「前ん年より景気いいだろ」
「去年のことはあんまり興味ねえんだ。」
「とーさんあがるねー 行ってくるねー」
「気いつけて行ってこいよ」
「娘さんもうすぐ結婚だね。あの娘がなあ」
「まあやっと決めたわ 今から料理教室だと」
ーしばし静寂の中、ふくよかな香りとともに時間が流れるー
「若い層のお客さんが増えたんだわ
この辺古い町だろ 高齢のお客さん多いし
若い層のお客さんに分けて数えたんだわ」
「若い娘好きだろ」
「そりゃな。お前もだろ
高齢のお客さんが減るのは仕方ないと思ってるんだわ
ここんとこ空き地にマンションがようけできたろ
若い層がどんどん移ってきてるみたいやけど
そこからも増えてきたみたいんがうれしいわ
新しい層もさあ どんどん来て欲しいからよう
こうなると高齢のお客さん、常連さんももっと
来てもらうよう考えてかなかんな」
ーふうーとマスターのため息ー
「開業した時大変だったよなあ
言っちゃなんだけど
営業もしたよなあ あきらめんで良かったわ。」
「苦労してたよなあ」
「子供生まれたばっかで大変だったしな。
かみさんには苦労かけたわ」
「もう10年かあ 最後まで店の心配してたもんな」
ーマスター 奥さんの写真を見て 涙ぐむー
「珍しく涙腺がゆるんでたまらんわ」
「お互い年はとりたくないよなー」
「長くやってると昔に比べて新規のお客さんの
安心した顔があるんだ
始めの頃は来てもらっても不安そうだったもんな
俺ん時は良かったなあ
借金もしたけど今はもっとだろ」
「おっとお客さん来たでまた今度な」
「いらっしゃいませー」マスターの声…